数年前から体調が悪く、精神的にも行き詰まっていた頃にセラピーを受けることになりました。
当時の私といえば、不登校の子供を抱え、夫は帰宅が遅くて夫婦で話し合いが出来ないほど多忙な状態でした。私は一人で家庭内のストレスを抱え込んでいるかのような錯覚に陥り、思いつめることも多く、感情の起伏が非常に激しかったように思います。
幼い頃から大人の顔色を見て育ってきたことや、人の影響を受けやすいということは自覚していましたが、原因は自分の作り出した感情や生まれた環境にあると思っていました。
だが、もっとも決定的な原因は自分が女であることでした。両親や親戚、私の生まれ育った環境は男子を必要としていたので、自分が女性として生まれてきたことに対する怒りと、私など生まれてこなければ良かったという悲しみ、自分の存在を否定されないためには人の役に立つことをしなくてはならないという強迫観のようなものが強く働いて、もがけばもがくほど苦しいという状況を作り出していました。
女性としての自分を愛することも、受け入れることもずっとできないままに生きてきたのだと思います。
催眠状態の中で深くリラックスした心地良い感じが全身に訪れると、どんどんと時間が戻っていき、真っ暗な狭い場所にいるような感覚がしてきました。私は胎児になり、母のお腹の中にいるのだと気づきました。「足を伸ばしてみて。どんな感じがする?」と聞かれて、おそるおそる足を伸ばしてみると、やわらかくて温かい子宮に触れるのがわかりました。胎児の私は、「私が生まれたら、お母さんは幸せになってくれる。お母さん大好き。」と思っていました。
次の場面に移ると、中から嫌な感情が流れてきて、急に寒くなったり怖くなったりしました。そこで母体から流れてくる感情をブロックすると、安全で心地良い空間になりました。そして自分は男でも女でもなく、ただ母を愛したい一心で健気に生きている小さな命だったということを知りました。
セラピーの一ヵ月後には、実家を離れることになりました。以前ならば、母の愚痴を聞く度に辛く嫌な気持ちになりましたが、今はそれほど動揺することもなく受け流しています。また、子供たちに対しても、むやみに感情を爆発させることもなくなり、比較的に安定した日々を過ごしています。
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